
この記事でわかること
この記事では、河川工学者・大熊孝さんのプロフィールや主な功績、近年あらためて注目されている理由について紹介します。また、大熊さんが一貫して伝えてきた「自然を守りながら人を守る」という考え方についてもわかりやすく解説します。
大熊孝さんとは
1942年 台北生まれ 引き上げ後 高松 千葉 新潟に住む
1967年 東京大学工学部土木工学科卒業
1974年 東京大学大学院工学系研究科」土木工学専攻・工学博士取得
同年 新潟大学工学部助手
1985年 新潟大学教授2008年 新潟大学定年退職、新潟大学名誉教
2008年定年退職、同年名誉教授
2014年4月-2019年3月、新潟市潟環境研究所所
2014年4月ー2019年3月、水の駅・ビュー福島潟名誉館長
1998年 – 2000年、土木学会土木史研究委員会委員長。
2008年 新潟日報文化賞受賞
2020年、『洪水と水害をとらえなおす 自然観の転換と川の共生』で毎日出版文化賞受賞。
大熊孝(おおくま たかし)さんは、河川工学や土木史を専門とする研究者で、新潟大学名誉教授です。1942年に台北で生まれ、東京大学工学部土木工学科を卒業後、同大学大学院博士課程を修了しました。工学博士として長年にわたり河川工学の研究・教育に携わり、現在も河川と人との関わりについて積極的に発信を続けています。
大熊さんは、河川を単なる治水施設としてではなく、「人々の暮らしや自然環境を支える存在」として捉えてきた研究者です。その考え方は、学術研究だけでなく、市民活動や講演、著書など幅広い分野で紹介されています。
また、NPO法人「新潟水辺の会」の活動にも携わり、市民と行政、研究者が協力しながら川づくりを進める取り組みにも尽力しています。
なぜ今大熊孝さんが再注目されているのか
大熊孝さんが近年再び注目されている理由は、全国各地で豪雨災害が増え、「これからの治水はどうあるべきか」が社会的な課題になっているためです。
近年は線状降水帯や記録的豪雨による洪水被害が各地で発生し、従来のダムや堤防だけに頼る治水には限界も指摘されています。
こうした中で注目されているのが、大熊さんが以前から提唱してきた「川と共生する」という考え方です。流域全体で洪水を受け止める「流域治水」の考え方は、国が推進する治水政策とも方向性が重なる部分があり、大熊さんの研究や提言が改めて評価されています。
また、大熊さんは現場を重視する研究者としても知られています。実際に川を歩き、地域住民の声を聞きながら研究を続けてきた姿勢は、多くの研究者や市民活動にも影響を与えています。
川とは何か
川とは、山と海とを双方に繋ぐ、地球における物質循環の重要な担い手であるとともに、人間にとって身近な自然で、恵と災害という矛盾の中に、ゆっくりと時間をかけて、人の「からだ」と「こころ」をつくり、地域文化をはぐくんできた存在である。
よってダムは川の循環物質を遮断するものであり川にとっては基本的に敵対物でしかない。
日本人なら誰しも「山川草木悉有仏性」国家の自然観と民衆の自然観の軋轢が、足尾銅山鉱毒事件、水俣病、新潟水俣病、福島原発事故などの災害を生みました。
大熊孝さんの功績
大熊孝さんの最大の功績は、「治水」と「自然環境」は対立するものではなく、両立できるという考え方を広めたことです。
従来の河川整備では、洪水を防ぐために川を直線化したり、コンクリートで護岸を整備したりする方法が主流でした。しかし大熊さんは、川本来の自然な姿をできるだけ生かしながら、人々の安全も守る河川整備の重要性を訴えてきました。
また、日本各地の治水の歴史を研究し、洪水と共存してきた地域の知恵や、河川行政の変遷についても数多くの著書を発表しています。
代表的な著書には次のようなものがあります。
- 『利根川治水の変遷と水害』
- 『洪水と治水の河川史』
- 『洪水と水害をとらえなおす』
- 『社会的共通資本としての川』(編著)
- 『技術にも自治がある』
これらの著作は、河川工学の専門家だけでなく、防災やまちづくりに関心のある人にも広く読まれています。
大熊孝さんが守ろうとしてきたもの
大熊孝さんが守ろうとしてきたものは、「自然」と「人の命」のどちらか一方ではありません。
大熊さんは、「自然を守ることが結果的に人を守ることにつながる」という考えを一貫して伝えてきました。川は洪水を起こす危険がある一方で、多くの生き物を育み、人々の生活や文化を支える大切な存在でもあります。
そのため、川を人工的に管理するだけではなく、自然の力を理解し、上手に付き合っていくことが重要だと提唱しています。
また、市民参加による川づくりや地域との対話を重視してきたことも、大熊さんの大きな特徴です。河川は行政や専門家だけのものではなく、地域で暮らす人たち全員の財産であるという考え方は、多くの人の共感を集めています。
まとめ
大熊孝さんは、河川工学の専門家として長年にわたり、日本の治水や河川環境について研究を続けてきました。
特に、「自然を守りながら人を守る」という理念は、近年の豪雨災害や気候変動の影響が大きくなる中で、ますます重要性が高まっています。
川は災害の原因になるだけではなく、私たちの暮らしや自然を支えるかけがえのない存在です。大熊孝さんの考え方を知ることで、これからの防災や川との付き合い方について、新たな視点を得られるのではないでしょうか。


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